産むべきか産まぬべきか、悩んでいる人へ届ける本
- 私、こども欲しいかもしれない
- 母親になって後悔してる
- 出産しない女たち(ドキュメンタリー)
- 産まないことは「逃げ」ですか?
- ノンママという生き方 子のない女はダメですか?
- 誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方
- 夏物語
- 子のない夫婦とネコ
- 終わりに
私、こども欲しいかもしれない
きっと人生どんな選択をしても、後悔や人を羨ましく思う気持ちはずっとあるはずだ。でもどんな選択をしても、考えて悩んで決めて行動していければ、ちゃんと肯定できるようになると思うし、思いたい。
と文中にもありました。
産むべきか産まぬべきかの選択肢を目の前にする私にできるのは、じっくり考えて、悩んで、そして結論を出すことだけです。
母親になって後悔してる
出産しない女たち(ドキュメンタリー)
産まないことは「逃げ」ですか?
コラムニストの吉田潮さんの作です。
吉田さんは途中、不妊治療もされていたのですが、お子さんには恵まれず、夫婦で生きる選択をされました。
子供が欲しいというのは、実は一種の「心の病」ではないかと思ったりもする。現状の不安や鬱屈から逃げたい一心で、子供が欲しいと思ったりするのではないか
内なるプレッシャーとは、女としての役割とか義務みたいなもの? 「妊娠して出産するという権利があるんだから、行使しなくては、という感じ
これも胸にすとんと落ちる表現でした。
この気持ちを男性に対して例えて言うなればこんなかんじですかね?
- あなたはいま、マンションを買う権利と十分なお金を持っています。
- 但しマンションは確実に買えるわけではありません。
- マンションを買える確率は年々下落していきます。
- 買える確率は35歳を過ぎると急激に低下します。
女性にのみ与えられた権利+時限爆弾付きなのが、なかなか難しい問題だなと改めて思います。
ノンママという生き方 子のない女はダメですか?
子どものいない女性を
- あきらめ型
- いつのまにか型
- 選び取り型
に分類したとして、選び取り型&選び取りに近いいつのまにか型をノンママと表現しています。
「ワーママ」に対応する言葉だと文中にはありましたが、個人的にはもう少しポジティブな表現をしたいなと思いました。
ただ、上記の3パターンがどのように起こるのか、背景にはどういう理由があるのかが丁寧に分析されて記されています。
ザ・バリキャリな香山さんが
その期間をずっと「自分より夫より、とにかく子ども」ですごすのは、ときとして「私の人生って何?」といった疑問やむなしさにもつながるのではないか
と書いていていらっしゃったのは、個人的にはとても心強かったです。
誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方
「子どものいない女性の会」を主催されている、くどうみやこさんによる本です。
上記の会もどちらかというと「産みたかったけど産めなかった人」向けだと思うので、本自体もやや「産まない覚悟を決めた人」向けですが、参考になるところもたくさんありました。
「あなたは冷静にいろいろ考えているから、いらないんだと思うよ。みんな、きっとそこまで考えていないよ」と言われたこともあります。たった一度の自分の人生なのに、なぜ「そこまで考えない」のか。私にはそれが不思議でした
とありました。
私はこれを読んでとても安心しました。なかなかこういう話は人とはしないので、みんながどこまで考えていて、どんな決断を下しているのかわからない。それが故に、不安になるところもあるのではないかと思えたからです。
同じくリアル人生ストーリーのこちら。
子どもは神様からの授かりものであり、社会からの預かりもの。子どもは自分のものではなく、大人まで育てたあとは社会に戻す。だから自分はそれまでの役割を果たしている。子どもがいない人は、また別の役割を神様が与えてくれているはずよ、と話してくれました。
子どもがいなくても、自分の人生に自分で意味を与えることはできる、と思っているだけで、「産まない恐怖」は少し和らぐ気がします。
夏物語
これまでとは少々趣向が違うのですが、川上未映子さんの小説です。
東京で暮らしている夏子が、ひとりで子どもを持つことについて考える物語です。
非配偶者間人工授精(AID)で産んだ人、生まれた人との関わりや、姉とその子どもとの関わりの中で、生とは何か、を見つけていきます。
子どもが欲しいというのは、子どもを育てたいということ?それとも産みたいということなんだろうか。それとも、妊娠したいということなんだろうか
そのぜんぶが入った『会いたい』っていう気持ちなのかもしれません
また人工授精で生まれた逢沢の恋人は、反出生的な考えの持ち主で、夏子にこう語ります。
どうしてみんな、子どもを生むことができるんだろうって考えているだけなの。(中略)生まれてきたいなんて一度も思ったこともない存在を、こんな途方もないことに、自分の思いだけでひきずりこむことができるのか
このセリフを見て思い出したのが、映画「LION」でインド人の子どもを養子にしたオーストラリア人の妻のセリフです。
世界は人で溢れてる。子供を産んで世界がよくなる? 不運な子供たちを助ける方が意義がある。
日本社会はどしても「血縁」を重視しがちなので、あまり養子縁組なども盛んではありませんが、このような考え方もあると思ってハッとしました。
夏子じゃないですが、私たちはなんで子どもが欲しいと思うのでしょうか。
育てたいから?産みたいから?それとも妊娠したいから?
子のない夫婦とネコ
群ようこさんによる短編集です。
夫婦ふたりと猫はまさに我が家と同じ構成で、はっとして手に取りました。