OLの家計簿

20代OLの徒然

産むべきか産まぬべきか、悩んでいる人へ届ける本

「クォーター・ライフ・クライシス」ということばを知っていますか?
 
人生の1/4 を過ごした、20代半ば〜30代の人が感じる喪失感や不安のことです。
20代半ば〜30代といえば、仕事を始めて数年経ち、結婚や子育ても視野に入ってくる年齢。
節目節目で「私は本当にこれでいいんっだっけ?」と考えることが増える頃です。
 
 
かくいう私も思い悩んでいるうちの一人。
仕事は5年目をむかえ、ぼちぼち慣れてきた頃。
結婚はしたけれど、子どもはまだいない。
 
転職か?子育てか?などと選択を迫られているような気持ちになってしまい、焦りばかりが募ってしまっていました。
 
「結婚したら子どもを作るもの」なんとなくそう信じていたし、人生のやりたいことリストには「子育て」があります。結婚してから2年ほど経っているので、周りからも「そろそろこども?」と言われるようになってきました。
 
 
でも本当にそれが私のやりたいこと?その選択をして後悔しない?と思い、出産関連の本を読み漁ったのでそのご紹介です。
小説も、エッセイも取り混ぜてご紹介します。
 
気になったものがあればぜひ手に取ってもらい、感想をシェアできると嬉しいです。
 

私、こども欲しいかもしれない

犬山紙子さんご自身が「欲しいのか・欲しくないのか」考えられていた時期に思っていたことや、お知り合いの方に聞いた話がまとまった本です。
ジャンル的にはエッセイかなと思います。
 
 
最終的に「毎月生理が来ていることにがっかりしている自分」に気づき、産むことを決めて、妊活・出産を行なった体験記も書かれています。
 
産んだ方・産まなかった方・産まないけど家族を迎え入れることを決めた方のインタビューもあって、まず読む一冊としてはおすすめです。
 
 
きっと人生どんな選択をしても、後悔や人を羨ましく思う気持ちはずっとあるはずだ。でもどんな選択をしても、考えて悩んで決めて行動していければ、ちゃんと肯定できるようになると思うし、思いたい。

と文中にもありました。

産むべきか産まぬべきかの選択肢を目の前にする私にできるのは、じっくり考えて、悩んで、そして結論を出すことだけです。

 
 
夫の劔樹人さんのコミックエッセイも、ご夫婦の雰囲気が伝わってきました。
後半に、劔さん目線で子どもを持つことについて考えたことや、犬山さんの妊娠が発覚したときの夫の心情が描かれています。
 

 
 

母親になって後悔してる

みんな子どものことは愛しているが、母親になった自分は受け入れ難い…。
 
イスラエル社会学者である著者が、母親になった人に行なったインタビュー集です。
産む/産まないの選択というよりかは、「母親」になることに対しての社会的な圧力、個人が感じる「母親としてのあるべき像」へのプレッシャーにフォーカスされています。
 
国の問題として「出生率」や「育児」に取り組むときに、女性に対する無言の圧力や、暗黙の社会的規範に頼るべきではありません。社会システムで解決するべきです。
 
自分の「子どもが欲しい」と思う気持ちが、自分自身から湧き出てきたものなのか、それとも社会的な圧力によってそう感じているだけなのか迷う人には是非読んでいただきたいです。 
 
 
この本はNHKのドキュメンタリーで紹介されていて知ったのですが、このドキュメンタリーもよくまとまっていておすすめです。

出産しない女たち(ドキュメンタリー)

 

産まないことは「逃げ」ですか?

コラムニストの吉田潮さんの作です。

吉田さんは途中、不妊治療もされていたのですが、お子さんには恵まれず、夫婦で生きる選択をされました。

 

子供が欲しいというのは、実は一種の「心の病」ではないかと思ったりもする。現状の不安や鬱屈から逃げたい一心で、子供が欲しいと思ったりするのではないか

これはすごくわかるなと個人的には思いました。
仕事がうまくいっていないときに、「あー産休でも入りたい」というのは、最も現実的な逃げる手段だったからです。
 
吉田さん自身も「自分はなぜ子供が欲しいのか」について掘り下げて考えられていました。「母性」や「そうあるべきだから」ということで片付けずに、自分の素直な欲求と向き合う姿勢はとても素晴らしいなと思いました。
 
 

内なるプレッシャーとは、女としての役割とか義務みたいなもの? 「妊娠して出産するという権利があるんだから、行使しなくては、という感じ

これも胸にすとんと落ちる表現でした。

 

この気持ちを男性に対して例えて言うなればこんなかんじですかね?

  • あなたはいま、マンションを買う権利十分なお金を持っています。
  • 但しマンションは確実に買えるわけではありません。
  • マンションを買える確率は年々下落していきます。
  • 買える確率は35歳を過ぎると急激に低下します。

女性にのみ与えられた権利+時限爆弾付きなのが、なかなか難しい問題だなと改めて思います。

 
 
吉田さんはこれ以外にも「介護するべきか」というような「(女性・家族が)やって当たり前であると思われていること」への考えを発信されています。
 

ノンママという生き方 子のない女はダメですか?

精神科医香山リカさんによる本です。

 

子どものいない女性を

  • あきらめ型
  • いつのまにか型
  • 選び取り型

に分類したとして、選び取り型&選び取りに近いいつのまにか型をノンママと表現しています。

「ワーママ」に対応する言葉だと文中にはありましたが、個人的にはもう少しポジティブな表現をしたいなと思いました。

 

ただ、上記の3パターンがどのように起こるのか、背景にはどういう理由があるのかが丁寧に分析されて記されています。

 

 

ザ・バリキャリな香山さんが

その期間をずっと「自分より夫より、とにかく子ども」ですごすのは、ときとして「私の人生って何?」といった疑問やむなしさにもつながるのではないか

と書いていていらっしゃったのは、個人的にはとても心強かったです。

 

 

誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方

「子どものいない女性の会」を主催されている、くどうみやこさんによる本です。

 

上記の会もどちらかというと「産みたかったけど産めなかった人」向けだと思うので、本自体もやや「産まない覚悟を決めた人」向けですが、参考になるところもたくさんありました。

 

 

「子どものことがきっかけで夫婦の関係が悪化してしまうこと」が作中では未産クライシスと表現されています。
私も「産むべきか、産まぬべきか」というよりも、きちんと話し合ってくれない夫にイライラしていた時期がありました。
このブログを読まれている方にもきっと思い当たる節があるのではないでしょうか?
夫婦の温度感の差も根深い問題だと改めて思います。
 
 
リアル人生ストーリーの一節に、

「あなたは冷静にいろいろ考えているから、いらないんだと思うよ。みんな、きっとそこまで考えていないよ」と言われたこともあります。たった一度の自分の人生なのに、なぜ「そこまで考えない」のか。私にはそれが不思議でした

とありました。

私はこれを読んでとても安心しました。なかなかこういう話は人とはしないので、みんながどこまで考えていて、どんな決断を下しているのかわからない。それが故に、不安になるところもあるのではないかと思えたからです。

 

 

同じくリアル人生ストーリーのこちら。

子どもは神様からの授かりものであり、社会からの預かりもの。子どもは自分のものではなく、大人まで育てたあとは社会に戻す。だから自分はそれまでの役割を果たしている。子どもがいない人は、また別の役割を神様が与えてくれているはずよ、と話してくれました。

子どもがいなくても、自分の人生に自分で意味を与えることはできる、と思っているだけで、「産まない恐怖」は少し和らぐ気がします。

 

夏物語

これまでとは少々趣向が違うのですが、川上未映子さんの小説です。

 

東京で暮らしている夏子が、ひとりで子どもを持つことについて考える物語です。

非配偶者間人工授精(AID)で産んだ人、生まれた人との関わりや、姉とその子どもとの関わりの中で、生とは何か、を見つけていきます。

 

 
なぜ人工授精を行いたいのか、と人工授精で生まれた当事者である逢沢に聞かれた夏子はこのように答えます。

 

子どもが欲しいというのは、子どもを育てたいということ?それとも産みたいということなんだろうか。それとも、妊娠したいということなんだろうか

 

そのぜんぶが入った『会いたい』っていう気持ちなのかもしれません

 

 

また人工授精で生まれた逢沢の恋人は、反出生的な考えの持ち主で、夏子にこう語ります。

どうしてみんな、子どもを生むことができるんだろうって考えているだけなの。(中略)生まれてきたいなんて一度も思ったこともない存在を、こんな途方もないことに、自分の思いだけでひきずりこむことができるのか

 

このセリフを見て思い出したのが、映画「LION」でインド人の子どもを養子にしたオーストラリア人の妻のセリフです。

世界は人で溢れてる。子供を産んで世界がよくなる? 不運な子供たちを助ける方が意義がある。

日本社会はどしても「血縁」を重視しがちなので、あまり養子縁組なども盛んではありませんが、このような考え方もあると思ってハッとしました。

 

夏子じゃないですが、私たちはなんで子どもが欲しいと思うのでしょうか。

育てたいから?産みたいから?それとも妊娠したいから?

 

子のない夫婦とネコ

群ようこさんによる短編集です。

夫婦ふたりと猫はまさに我が家と同じ構成で、はっとして手に取りました。

 

表題にもなっている「子のない夫婦とネコ」は、産まない選択をしたわけれはないけれど、子どもに恵まれなかった夫婦。猫と夫婦ふたり暮らしが続くとこういうかんじになるのか。と思える本です。
 

 
 

終わりに

私も実はまだ結論は出ていません。一人で決められることではないし、月並ですが、タイミングというものもあると思っています。
 
 
いまでこそ、やっと気持ちの整理ができるようになり、このようなブログを書いて向き合ったり、親しい友達には話せるようになりました。
 
 
一時期は本当に「未産うつ」状態で、寝ても醒めても妊娠のことばかり考え、妊娠報告を聞いては落ち込んでいました。
 
Twitterはもちろん「妊娠」「妊活」の言葉はミュートにし、FacebookInstagramもログアウトして人のニュースは見ない。
 
そこまでやったにもかかわらず、社内チャットで産休報告を見かけては落ち込んでいました(いま考えると結構異常ですね…)
 
 
当時からもっとオープンにこのような話題を友達を語れていれば、これほど落ち込んでいなかっただろうし、前向きにこの問題と向き合えたのかな、と思っています。
 
 
この記事を読んで、少しでもじぶんごととして捉えてくださる女性が増えれば嬉しいです。
 
そして現在進行形で迷っておられる方の「私はどうしたいのか」を考える一助になれば幸いです。